NPO法人の設立・運営Q&A
NPO法人の設立や運営に際して、和歌山県NPOサポートセンターによくある質問をまとめました。
【NPO法人運営編】
- 法人の目的や事業を変更したい
定款第4条に掲げている「NPO法人の活動分野」を変更する場合は、定款変更認証の手続きが必要です。
また、変更する事業の内容が、定款第5条に記載されている「法人の事業」に記載されている項目の範囲内であれば、法人内部の手続き(総会や理事会等)だけで構いませんが、その範囲を越え、事業名の変更が必要となる場合は「事業の変更」に関する定款変更認証手続きが必要となります。
定款第4条・第5条を変更する場合は、総会での定款変更議決の際に合わせて当該年度と翌事業年度の事業計画書と活動予算書を議決し、所轄庁への定款変更認証手続きが必要となります。また、第4条・第5条は登記事項ですので、変更認証の後には法務局での変更登記も必要です。
なお、介護保険事業や障害福祉サービス事業を行っている場合など、NPO法とは関係ない法律の改正にともなって定款第5条に定める事業名の変更が求められることがあります。このようにNPO法以外の法律や制度の改正による定款変更の際は事業計画書と活動予算書の添付が不要になることがあります(多くの場合、その事業を所管する行政担当課からその旨を知らせる通達が出されます)。
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- NPO法人とマイナンバーは関係あるの?
NPO法人は法務局に登記した際に、13桁の法人番号が付与されます。法人番号は所在地(番地まで)・名称とともに国税庁のホームページで公開されます。また、NPO法人が納税などの手続きを行う際などに法人番号を記載する必要があります。
なお、有給の職員を雇用する場合や、講師に謝金などを支払って源泉徴収をする場合などには、対象者のマイナンバーを適切な方法で取得し、管理する義務が発生します。
詳しくはこちらのブログ記事を。
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- 毎事業年度終了後の事業報告の書式(様式)は決まっているの?
事業報告書の表紙にあたる「事業報告書等提出書」は所轄庁が定める様式ですので、和歌山県様式・様式例ダウンロードページにある「事業報告書等提出書(第8号様式)」をご利用ください。
そのほかの書類(事業報告書・財産目録・貸借対照表・活動計算書とその注記・年間役員名簿・社員10名以上の名簿)には、決まった様式はありません。参考例として和歌山県様式・様式例ダウンロードページや和歌山県が発行している手引き書に掲載されている「事業報告様式例」がありますが、事業報告書類は一般の方に対する閲覧書類(内閣府NPOホームページからも閲覧可能です)となりますので、閲覧される方にその法人の事業内容がよくわかるように作成いただくのが望ましいといえます。
例えば事業報告の内容として、定款の事業名・事業内容・支出額等のほかに、事業詳細や成果などを詳細に記載したり、写真等で活動の様子をわかりやすくする工夫も考えられます。また、財務書類(財産目録・貸借対照表・活動計算書)の金額のつじつまが合っているかどうかといった点は、団体の信頼性担保のためにはとても重要かと思われます。
したがって、所轄庁が提示している作成例を一律にまねる必要はありません。また財務書類は正確に作成してください。
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- 総会はどう開けばいいの?
法人の定款に、総会で決められる事項、招集期限、招集方法、議長の選出方法、議事録署名人の人数などが定められていますので、それにならう形で内容を組み立てるとよいでしょう。
標準的な定款による総会の開催例は以下の通りです。
1. 代表者が開会を宣言する。
2. 当日の正会員総数、出席者・委任出席者・書面表決者数・オンラインでの参加者数などを確認し、定款に定められている「総会の定足数」に達しているか確認する。
3. 出席者から議長と議事録署名人(定款で定められている人数)を選出する。
4. 事前に通知した議案ごとに審議を進める。
前年度事業報告・決算の承認、新年度事業計画・予算の承認、役員変更、定款変更など。
5. すべての議事が終了したら閉会する。
理事会で「総会に付議すべき事項」を決議する、と定めている法人も多いと思います。この場合、総会で付議する内容を事前に理事会で協議をしておく必要があります。理事会開催、総会の招集などを考えると、1カ月以上のスパンで日程調整が必要になりますので、しっかりと計画を立ててください。
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- 事業年度終了後の流れは?
NPO法人は事業年度が終わってから3ヶ月以内に所轄庁に事業報告書等を提出する必要があります。また、法人税等が課税されている場合は事業年度終了後2ヶ月以内の申告納付が必要ですので、この期限を目安に早めに準備をされるといいでしょう。
ほとんどの法人は前年度の事業報告・活動決算は総会で承認を得ることとなっているかと思われます。したがって、以下のようなモデルが考えられます。
例)3月31日が事業年度末の法人の場合
3月31日 事業年度終了
4月中に決算作業・事業報告とりまとめ
↓
5月連休明け 活動計算書・事業報告書案を作成、理事会で総会に付議する内容の承認
↓
総会の招集
↓
5月後半 総会で事業報告・活動予算を承認
↓
(5月下旬までに法人税等申告納付)
↓
所轄庁への事業報告書等作成
↓
6月30日までに事業報告書等を所轄庁に提出、貸借対照表の公告をおこなう
総会では、事業計画・活動予算、役員変更などほかの議案についても議決を取るのが一般的です。
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- 活動計算書を作成するときに注意すべき点は?
- 事業報告書と活動計算書の数字が合っていますか?
事業報告書で記載する各事業の支出額と活動決算書の事業費の数字が合っていないと事業報告の信憑性に関わる懸念があります。
- 財務3書類の数字は整合性がとれていますか?
NPO法人の事業報告書では財産目録、貸借対照表、活動計算書の3種類の財務書類を作成しますが、正味財産額が3書類で一致するか、前年度の次期繰越正味財産額と今年度の前期繰越正味財産額が一致しているか、などといった書類間の整合性がとれている事をご確認下さい。
- 事業費と管理費、人件費とその他経費について
支出は事業に支出した事業費と、法人運営自体に支出した管理費にわけて記載しますが、管理費>事業費になっていますと、事業よりも法人の維持に重きを置かれているとみなされ、適正とはいいがたくなります。人件費や家賃などでも事業を行うのに必要な費用であれば事業費と考えられ、従事割合に応じて事業費と管理費に按分することができます。
按分については、従事している時間で按分する方法(例:週20時間携わっているスタッフが、事業に12時間、法人運営に8時間従事していると、人件費を事業費:管理費=3:2で按分)、面積按分(事業で用いるスペース面積:法人運営で用いるスペースの面積)や費用按分(事業費総額:管理費総額)などの方法があります。
また、事業費と管理費はそれぞれ人件費とその他経費にわかれますが、さらに活動計算書の注記によって事業費の内訳を事業ごとに記載する別表を作成し、より詳しく記載すると信頼性が高まると考えられます。
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- 介護保険サービス事業・障害福祉サービス事業をしたい
介護保険サービス事業や障害福祉サービス事業は県のNPO担当部局ではなく、介護保険サービス事業は県庁長寿社会課と各振興局健康福祉部、障害福祉サービス事業は県庁障害福祉課と各振興局健康福祉部が窓口となっています。こうした事業は年々制度が変わっていますので、確実に情報を入手されることをおすすめします。
お問い合わせや相談は、和歌山市内の方は県庁各課へ、和歌山市以外の地域の方は各振興局健康福祉部へお願いします。
なお、定款第5条(事業)に当該事業名を盛り込まなければならない場合がありますので、ご留意下さい。第5条の定款変更は認証が必要で、法人内での総会議決のあと、和歌山県での定款変更認証、法務局での登記が必要になるので2ヶ月ほどの時間がかかることにご留意下さい。
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- NPO法人の運営には税金がかかるの?
NPOに限らず法人には原則として税金がかかります。法人県民税均等割(年間2万円)・法人市町村民税均等割(年間5万円)のほか、和歌山県の場合は県民税の5%相当額を紀の国森づくり税として上乗せ徴収していますのでさらに1,000円を加えた71,000円が基本的な課税対象となります。
ただし、法人税法上の収益事業を行っていない場合は県税事務所・市町村役場の市町村民税担当部局への申請により免除されます。
NPO法人が行う収益事業のうち、法人税法上の収益事業に該当する場合は法人税の課税対象となります。また、消費税の課税対象となった場合は消費税の課税事業者にもなります。
NPO法人は「非営利」ですが、非営利事業がすなわち法人税非課税になる、ということではありませんのでご注意ください。
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- 法人税法上の収益事業とは
法人税法上の収益事業の定義は(1)34業種の事業のうちいずれかを、(2)継続して、(3)事業場を設けて行われているの3つの条件をすべて満たすこと、です。
34業種は、物品販売業 、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、放送業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権提供業。
このうち、NPO法人との関わることが多い業種として物品販売業や請負業、医療保健業、出版業、技芸教授業などが挙げられます。
例えば、NPO法人の運営の足しにするようなチャリティバザー、行政等からの受託事業、介護保険事業・障害者福祉サービス事業なども場合により法人税法上の収益事業になります。
どこまでが収益事業で収益事業でないかの判断は法令や国税庁の通達など細かい基準によるため、非常に難しいのが実際のところです。専門家等へのご相談をおすすめします。
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- 行政からの事業を受託してるけどこれって「収益事業」?
契約書の形態によりますが、一般的には法人税法の「請負業」にあたり、収益事業とみなされるケースが多いようです。
しかしながら、行政からの事業受託の場合は「契約金額>最終精算額」となった場合に、差額を行政に返金したり、最終精算額に契約金額を合わせる形で契約を変更したり、といったことが契約書でもともと謳われているケースがあります。このように、NPO法人が受け取る金額が最終精算額を上回ることがないということが契約書上明らかな場合は「実費弁償」といい、税務署の確認を得ることで、当該事業に限って概ね向こう5年間は、法人税法上の収益事業ではないという扱いになります(国税庁の解説)。
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- 定款や役員の就任承諾書および誓約書、総会議事録はなぜ「謄本(とうほん)」が必要なの?
謄本とは原本の写し(コピー)のことを指します。本来、上記の書類は法人自身が原本を所有するべきものとなりますので、所轄庁にはその謄本を提出する必要があるのです。
なお、和歌山県の場合は謄本の提出に際し、原本証明や印鑑証明書等の添付は不要です。
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- 複数のNPO法人の役員を兼務できるの?
それぞれの法人で職務を担うことができるのであれば問題はありません。
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- NPO法人は融資を受けることはできますか?
NPO法人が資金の融資を受けるケースは年々増加しています。和歌山県内でも、介護保険事業や障害福祉サービス事業の運営や、大型の事業を受託したときなどの事業の運転資金、施設建設など大型設備投資の資金などの融資を受けているケースがあります。
NPO法人向けの融資制度を設けている金融機関もありますので、いろいろ探してみて下さい。
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- NPO法人は活動を休止することはできますか?
活動を行わなければ、法人としては休止状態となりますが、法人として存在する以上、総会の開催、事業報告書や役員変更届、登記などの法人の義務は継続して果たさなければなりません。
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- NPO法人を解散するには?
NPO法人は簡単に解散する事はできません。おおまかに以下の流れとなります。
- 社員総会において解散を決議し、残余財産の処分方法の決定と清算人の選任を行います
- 法務局にて解散及び清算人登記を行います
- 所轄庁へ解散届出書と解散及び清算人の登記を行った事を証する登記事項証明書を提出します
- 主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の監督により清算業務を行います。清算人は、
(1)未完結事務の完結
(2)債権の取り立て・弁済
(3)債権の申し出の公告・催告を官報に少なくとも1回掲載
(4)公告・催告により判明した債務の分配
(5)残余財産がある場合は財産の引き渡し
・・・の業務を行います
- 法務局において清算結了した旨の登記を行います
- 所轄庁に清算結了届出書と清算結了の登記を行った事を証する登記事項証明書を提出します
なお、官報へ公告を掲載することは民法で定められた法的手続きで、標準的なケースで1回あたり3〜4万円程度の費用がかかります(文字数により費用が異なります)。また官報掲載後2ヶ月間は解散手続きを進めることはできず、すぐに解散を完了させることはできません。
詳しくは「NPO法人を解散するには」のページをご覧ください。
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