NPO法人の設立・運営Q&A
NPO法人の設立や運営に際して、和歌山県NPOサポートセンターによくある質問をまとめました。
【NPO法人設立事務編】
- 設立までの大まかな流れは?
NPO法人を設立する際には、設立することをみんなで決める「設立総会」の開催が必要です。NPO法人の設立総会で承認する案件は一般的に…
- 法人を設立すること
- 設立しようとしているNPO法人がNPO法に抵触していないことを確認すること
- NPO法人の定款
- 設立初年度と翌年度の事業計画・活動予算書
- 設立当初の役員体制・役員報酬の有無・会費を設定する場合はその金額
- 設立代表者
- 定款第2条で事務所所在地の記載を市町村単位まででとどめる場合は、設立時の事務所所在地を番地まで確定すること
- 申請の際に軽微な変更が発生した場合にその修正を委任する人
…などとなります。
したがって、設立総会には少なくとも1.に必要な設立趣意書、3.の定款、4.の設立初年度と翌年度の事業計画・活動予算書が必要になるといえます。また、上記の2.を確認するための資料(NPO法の該当条文の抜粋等)、5.の役員名簿と役員報酬の有無の案、会費案などの資料があるとスムーズに進行できるものと思われます。まずはこれらの書類を準備して設立総会を迎えるとよいでしょう。
設立総会はNPO法人の設立をすることを決議するものですので、この時点では出席者や社員(正会員)になる予定の方が10名いなくても差し支えありません。設立総会後、設立認証書類提出までの間に、社員を10名以上にすれば大丈夫です。
設立総会後は、総会議事録や役員名簿、役員の就任承諾書および誓約書、役員の住民票、社員のうち10名以上の名簿などの書類を準備して設立認証申請へと進みます。
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- 袋とじの方法は?
法務局に定款を提出する際などに、定款や議事録などの書類が続き物であるということを証明するために袋とじにすることがあります。動画で作成例をご紹介します。なお、袋とじは2項目下の「契印(割印)」で代用することもできます。
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- 原本証明ってなに?
NPO法人が法務局に登記申請をする際に「原本証明」という言葉が出てきます。これは登記申請に必要な、総会の議事録、役員就任承諾及び誓約書、定款などは本来は法人が保有すべき書類であることから、法務局等にはその写しを提出することとなります(この写しのことを「謄本(とうほん)」といいます)。そこで、この写しは原本と相違ないということを証明するのが「原本証明」です。法務局に登記申請をする際には謄本と同時に原本も預け、「原本還付申請」をおこなうことで、後日原本を返却してもらえます。
なお、設立総会議事録や役員就任承諾書及び誓約書などは複数作成しておき、各1部を原本証明なしで法務局に提出することも可能です。詳しくは法務局でお尋ねください。
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- 契印(割印)ってどうやるの?
総会議事録や定款などが複数枚に及ぶときに、その書類が連続していることを証明するために、綴じたページの合間に押印することを契印といいます(「割印」とよぶケースもありますが「契印」が正当だそうです)。特に総会や理事会議事録(設立総会はもちろん、NPO法人設立後の総会・理事会も同様です)については当該議事録に押印されている方全員(議長・議事録署名人)の契印が必要になりますので、作成時にはご注意ください。
ちなみに1枚で完結している場合(両面印刷を含みます)はもちろん契印は不要です。
契印押印のの一例を動画でご紹介します。
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- 「役員の住民票の写し」はコピーしたものを提出するの?
設立認証申請や役員変更の際に必要な書類のなかに「役員の住所又は居所を証する書面(住民票の写し等)」とありますが、市役所・役場等の窓口で発行される書類そのものが「住民票の写し」ですので、発行された書類自体を申請書類に添付します。
まれに、発行された住民票をさらにコピーして提出されるケースがありますが、これは「住民票の写しの写し」となり無効となります。
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- 住民票は古いものでも大丈夫?
住民票は提出日より6ヶ月以内に発行されたものと条例で定められていますのでご注意下さい。
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- 設立総会の開催日から認証申請まで相当時間がかかっちゃった!大丈夫?
設立総会から認証申請日までの期間に明確な規定はありませんが、時代の流れで事業内容が変化することがあったり、住民票などの準備を進めていた場合は期限切れになって再取得になったり、といったことも考えられますので、早めに準備されることをおすすめします。
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- 定款で事務所の所在地を市町村までに留めたいんだけど?
定款第2条に定める「事務所の所在地」は市町村名までにとどめることができます。市町村名まででとどめていると、同一市町村内における事務所の移動の際は定款変更手続きの必要がない(=総会を必ずしも開催しなくてよい)、個人宅を事務所にしている場合に住所を特定されにくいなどのメリットがあります。
しかし、事務所の住所は法務局の登記事項であり、登記の際には番地までの記載が必要となります。定款第2条の表記を市町村名まででとどめる場合は、設立時の総会において、実際の事務所の所在地を番地まで確定し、議事録に記載する必要があります。
事務所所在地を市町村名までにとどめている場合で、設立後に同一市町村内において住所移転をした場合は、住所移転を決議した理事会等の議事録を添えて住所の変更登記が必要になるほか、所轄庁などに住所変更の届け出が必要となります(この場合の所轄庁への住所変更届に書式はありません。なお、介護保険や障害福祉サービス事業、助成金・補助金事業を実施している場合等は所定の手続きが必要になります)。
なお、定款第2条で事務所所在地を市町村名まででとどめていても、国税庁「法人番号公表サイト」では、法人の登記上の住所が番地まで表示されるようになっていますのでご留意ください。
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- 登記の方法は?
法務局への法人登記については、ご自身でおこなうすることも可能です。法務局Webサイト(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/houjin4.html#f_heading3l)にひな形がありますが、登記の手続きは煩雑になることが多いため、実際に法務局で確認することをお勧めします。なお、必要事項の登記のほか、法人としての印鑑を登録する必要があります。
なお、和歌山県内では法人登記ができる法務局が和歌山地方法務局のみになっています(登記に関する相談は県内の支局や法務局ウェブ相談(PDF)で、登記簿謄本の取得については県内の支局・出張所でも受け付けています)。登記申請は郵送でも可能です。
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- NPO法人になれば寄付金控除が受けられるの?
NPO法人は寄付金控除の対象にはなりません。寄付金控除を受けるには、「認定NPO法人」「特例認定NPO法人」になる必要があります。認定NPO法人・特例認定NPO法人になるための要件はこちらにも記載していますが、詳細は内閣府NPOホームページ、もしくは和歌山県発行の認定NPO法人の手引きをご覧下さい。
定められている申請書類だけではなく、認定基準を満たしていることを客観的に証明する書類、認定NPO法人として閲覧対象に加わる書類の準備等が必要になりますので、認定を希望される場合は必ず事前相談をお願いします。
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- 任意団体からNPO法人に会計を引き継ぎたいんだけど?
任意団体と法人はまったく別団体と解釈されます。法人設立の際に任意団体が持つ資産を譲渡することも可能ですが、いつ登記がされるか日程が未確定の場合は、NPO法人を資産0円で設立し、後日、任意団体から資産をNPO法人に寄付することも可能です。なお、その場合も会計は任意団体とNPO法人とは別になります。
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- 最低何人いればNPO法人がつくれるの?役員と社員は別?
NPO法人は社員(総会で議決権を行使できる方)が10名以上いる必要があります。逆にいえば10名以上の社員がいればNPO法人の設立は可能です。
役員と社員は別ですが、兼務は可能ですので、役員全員が社員を兼務すれば10名で法人運営や理事会運営といった必要最低限の法人業務はおこなえます。
また、役員が必ず社員でなければならないという必要は必ずしもありませんが、総会が法人の最高意思決定機関であることを考えると、役員も社員の資格をもって総会での意思表示ができるようにしておくとよいと思われます。
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- NPO法人でないと「NPO」は名乗れないの?
「NPO法人」「特定非営利活動法人」という名称は認証を経て法務局に登記をして初めて使うことができます。法人登記もしていないのにNPO法人・特定非営利活動法人を名乗ることは法律で禁じられています。
ただし「NPO」という言葉には法定の定義はありませんので、非営利活動をおこなっている団体であれば、法人格の有無問わず使用することができます。
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- NPO法人の事務所はどこに置くことができるの?
事務所の所在地は登記ができ郵便物が届く場所(番地が定まっているところ)であれば設定できます。個人の自宅でも他の事業者などの施設でも構いませんが、その場合は当該施設の所有者・管理者への承諾をお忘れなく。
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- NPO法人の設立認証が下りた!次はどうしたらいいの?
和歌山県から設立認証書が届いたら以下の手続きが必要です。
- 法務局へ法人設立登記をおこなってください。登記申請が受理されて登記完了まで4〜6業務日ほどかかります。
- 登記完了後、和歌山県に「設立登記完了届出書」を登記事項証明書と設立時の財産目録各1部を添えて提出してください。
- 事務所がある市町村を管轄する県税事務所と市町村役場の法人税担当部局に、法人設立申告書を提出してください。法人税法上の収益事業を行わない場合は、法人県民税均等割・法人市町村民税均等割の減免または免除の申請をおこないますが、申請受付時期は自治体により異なりますので、窓口でお尋ね下さい。
法人税法上の収益事業を行う場合(税務署・県税事務所・市町村民税担当課)、源泉徴収を行う場合(税務署)、職員を雇用する場合(税務署・労働基準監督署・ハローワーク・社会保険事務所)など、それぞれ届出が必要です。
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- 押印が省略できるようになったらしいけど?
2021年6月より、和歌山県内のNPO法人が和歌山県庁に対して提出する各種書類(設立認証申請書、事業報告書等提出書、役員変更等届出書、定款変更届出書、定款変更認証申請書、解散届出書等)への押印は不要になりました。なお、従来どおり押印されていても問題はありません。
また、設立認証申請書類に含まれる確認書、設立趣旨書、設立総会議事録等への押印も必須ではなくなりました。
総会議事録・理事会議事録への押印についても、定款に記載がなければ押印を省略することができますが、定款に「議事録には議長及び議事録署名人が署名(記名)・押印しなければならない」と記載されている場合、押印を省略することはできません。
また、法務局への登記の際に提出する総会議事録等には印鑑の押印が必要になることが多いので、NPO法人の運営にまつわるあらゆる書類に押印が不要というわけではありません。特に役員変更登記の際には押印した議事録が必須になります。
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