NPO法人の役員選任と代表者の互選(選任)を同日におこないたい


  1. NPO法人の役員任期の考え方
     NPO法人の役員任期は定款で2年もしくは1年と定められています(設立したばかりのNPO法人では、附則で設立当初の役員任期の末日が定められています)。任期満了にともなう役員選任の場合、原則として任期満了までに次期の役員を選任します。

     役員任期の考え方
      全員再任(重任)の場合は、役員選任後から新任期開始までの間に代表者の互選(もしくは選任)をおこなっても差し支えありませんが、「役員任期開始日より初めて互選に参加できる」ことから、1人でも新任の方がいらっしゃる場合は、新任期開始日かそれ以降に代表者の互選・選任をおこなう必要があり、実務上手間がかかっていました。
     いっぽう、任意団体などでは新しい任期の役員を選任した同日に代表者を選任するケースも少なくなく、現行の定款ひな形を活用した場合、手間が増えるのでは、という声もありました。そこで、最近は役員選任と同時に新しい役員任期をスタートさせる取り扱いを認める動きが広がっています。  
  2. NPO法人の役員選任と代表者互選(選任)を同日におこなう方法は2通りあります
    1. 【1】定款に役員任期の伸長・短縮規定を盛り込む方法
       所轄庁の定款ひな形では、役員を総会で選任する場合に限り「任期満了までに後任役員が選任されていない場合は、任期の末日後最初の総会が終結する日まで任期を伸長する」ことができる伸長規定が盛り込まれています。
       ここに「任期末直前の総会で役員が選任された場合は、任期を総会終了時までに短縮する」ことができる短縮規定を加えることで、総会終結をもって役員任期を満了させることができます。そのうえで総会で選任された新役員による理事会を開き、代表者を互選(選任)することで、役員選任と代表者互選(選任)を同日におこなうことができます。

      (従来の定款例)
      第15条 役員の任期は、●年とする。ただし、再任を妨げない。
       2 前項の規定にかかわらず、後任の役員が選任されていない場合には、任期の末日後最初の総会が終結するまでその任期を伸長する。
       3 補欠のため、又は増員によって就任した役員の任期は、それぞれの前任者又は現任者の任期の残存期間とする。
       4 役員は、辞任又は任期満了後においても、後任者が就任するまでは、その職務を行わなければならない。

      (伸長・短縮規定を盛り込む定款例:赤文字が短縮規定、緑文字が伸長規定)
      第15条 役員の任期は、●年とする。ただし、再任を妨げない。
       2 前項の規定にかかわらず、任期満了前に就任後●事業年度が終了した後の総会において後任の役員が選任された場合には、当該総会が終結するまでを任期とし、また、任期満了後後任の役員が選任されていない場合には、任期の末日後最初の総会が終結するまでその任期を伸長する。
       3 補欠のため、又は増員によって就任した役員の任期は、それぞれの前任者又は現任者の任期の残存期間とする。
       4 役員は、辞任又は任期満了後においても、後任者が就任するまでは、その職務を行わなければならない。

      ◆ なお、この規定を盛り込むには定款変更認証が必要です。また、法律の規定により理事会で役員を選任する法人は、役員任期の伸長規定を盛り込むことはできませんので、短縮規定を盛り込むことも適切ではないと考えられます。
      ◆ 一般に、代表者を「互選」としている場合は、理事全員が出席することが求められます。
       

    2. 【2】理事全員が総会終結時に全員辞任する方法
       理事全員が辞任届を提出のうえ総会終結時に辞任し、総会で新役員を選任。選任後に代表者を互選(選任)することで、理事の選任と代表者互選(選任)が同日におこなえます。この方法は定款に役員任期の短縮規定を盛り込んでいない場合でも活用できます。

       (辞任届の記載例)
        法人宛の辞任届とし、●年●月●日開催の総会の終結時をもって辞任する、という旨を記載します。

      ◆ この場合、全員辞任からの新任となるため、県庁への役員変更届出時には、就任承諾書及び誓約書、住民票の添付が必要になります。
      ◆ 法務局での役員変更登記の際には辞任届の提出が必要になるほか、法務局に印鑑を登録している方が理事をもいったん辞任しているため、法人の実印を行使できる方が一時的に不在となり、総会議事録と代表者互選(選任)の議事録には全員の実印押印と印鑑表明書の添付が必要になると考えられます。
       

トップページへもどる